ご存じでしたか?現行の一般NISAの受付は2023年で終了し、2024年からは新たに新NISAの受付が開始されます
現在、一般NISAを利用している方は新NISAにロールオーバーする事ができます。しかし、ロールオーバーにはいくつかのルールや条件が追加されているので注意が必要です
また、ロールオーバーの際には非課税期間のリセットがあるので一般NISAから利用していれば一般NISA 5年 → 新NISA 5年 で10年。さらに新NISA → つみたてNISA 20年で最長30年も非課税期間を利用する事ができるので、ぜひ資産形成に役立てていただきたいです。
今回はNISAの基本から新NISAの変更点やロールオーバーのルールや注意点を解説していきます
NISAの基礎知識
投資は通常であれば『一般口座』『特定口座』のどちらかで運用します
そのとき株式や投資信託から得られる配当金(分配金)や売却した際に投資した元本以上に利益がでていた場合(値上がり益)それらに対して20.315%の税金がかかります
NISA口座の場合それらの利益に対する税金が非課税になります
つまり、NISA口座では運用益がまるまる手に入るので資産形成スピードが段違いになります
こんなに違う
- 一般・特定口座:100万円の利益⇒税金203,150円徴収=796,850円の手取り
- NISA口座 :100万円の利益⇒運用益は非課税=1,00,000円の手取り
NISA口座が圧倒的にお得!
金額が大きくなればなるほど非課税の恩恵を感じることができると思います。
これから投資で資産形成を考えるならNISAを利用しない手はないですね。使える制度は上手に利用して資産形成に活かしましょう
現在NISAには3種類のNISAがあります
「つみたてNISA」「一般NISA」「ジュニアNISA」の3つです
そのうち「ジュニアNISA」は2023年で運用を終了し2024年からは追加購入もできなくなってしまうので今回の解説からは外します
つみたてNISAと一般NISAの違いは以下の図の通りです
冒頭でもお話しした通り「一般NISA」も2023年で運用終了になってしまいますが、2024年からはあらたに「新NISA」にロールオーバーする事で再運用が可能になっています
しかし新NISAに代わる事で様々な変更点が追加されており、内容が複雑化してしまったので既にNISAを利用している人でもNISAが新しくなる事は知っていても、内容を正確に把握している人は意外と少ないです
NISAの始め方
一般NISAの始め方やメリット・デメリットはこちらの記事で解説しています
一般NISAと新NISAの違い
まずは一般NISAと新NISAの変更点を見ていきましょう
今までの非課税枠が120万円だったのに対して新NISAでは1階が20万円、2階が102万円の合計122万円と2万円だけ謎に増えました。また1階では積立投資で条件を満たした投資信託にしか投資する事ができません
何やら1階、2階という用語が急に出てきましたが、新NISAの非課税枠は2階建ての構造となっていて、簡単に言えば1階はつみたてNISA、2階が一般NISAという運用方式を採用しています
イメージにするとこんな感じ
新NISAでは2階部分のみの運用はできない仕様になっていて、必ず1階のつみたてNISA部分を利用しなければ2階の一般NISA部分を利用することができません
新NISA改正の背景
元々一般NISAは2023年で運用終了する事が決まっていましたが、そうなったときにある問題が発生してしまいました。非課税での投資期間の減少です
2019年から運用すれば2023年まで5年間の運用で一般NISAの運用期間を満了できましたが、2019年以降、例えば2021年から運用した場合非課税で投資できるのは3年間しかありません
そこで一般NISAが終了してしまっても2024年から5年間は新NISAとして運用できる事になりました。しかしなぜ一般NISAの期間延長ではなくわざわざ複雑化してまで新NISAに切り替えるのか?
NISAは「安定した資産形成」を促進する目的がありましたが、一部から一般NISAはリスクが高く安定した資産形成ができないのではないか?という声が上がっていたからです
これにはぼくも同意見でこれからNISAを利用しようという人の多くは投資初心者です。それなのに運用期間が5年では中・短期の投資しかできないので相場状況によって元本割れのリスクが高いので資産形成どころか資産減少してしまう人がそれなりに出る事が予想されます
追加で投資銘柄が豊富過ぎる事が問題で投資初心者では何を選んで良いのか分からず銘柄によってはレバレッジ商品で元本が半減なんて事態もあり得るので一般NISAは投資初心者には優しくない制度である。という事が言われてきました
そこで初心者にも優しい「つみたてNISA」を基礎に用意して少額からの安定した資産形成の経験を養ってもらい、それ以上に投資をしたい中級者以上の人には2階部分として「一般NISA」を用意するという2段構えの構造になりました
ロールオーバーとは?
ロールオーバーとは「乗り換え」という意味で、一般NISAの非課税期間が終わったときに新NISAの非課税投資枠にお引越しできる制度の事です
例えば2019年から一般NISAで5年間運用をした場合、本来であれば非課税期間は2023年末で終了するので、その後は口座内の資産をすべて売却するか課税口座に移動させる必要があります
そこでロールオーバーを利用すると2024年からは新NISAでさらに5年間追加で運用する事ができます。そして新NISAで5年間の運用後、1階部分のみであればさらに追加でつみたてNISAにロールオーバーする事が可能です
ロールオーバーのルール
ロールオーバーにはいくつかのルールがあり、単純に一般NISAで運用している資産をそのままお引越し!…というわけにはいきません。
- 一般NISAからのロールオーバーは非課税枠の2階部分から先に消費する
- 一般NISAから移管する際は資産評価を「時価」でおこなう
- レバレッジ商品や上場廃止の恐れのある整理銘柄・管理銘柄はロールオーバーできない
- 新NISAの1階部分をつみたてNISAにロールオーバーする際は資産評価を「簿価」でおこなう
例えば一般NISAで120万円で購入した商品が運用終了時に株価が上がっていて140万円の価値になっていた場合、下図のようにまずは2階の102万円の枠から消費し、それでも38万円分浮いてしまっているので今度は1階の20万円を消費。枠をすべて消費しても8万円残ってしまいましたが、そのままロールオーバーが可能です
ただし、この場合は非課税枠をすべて使い切っているので移管した年度内に商品の追加購入をする事はできません。
次は逆に購入時より価値が落ちてしまった場合のロールオーバーイメージです。120万円で購入した商品が株価下落で80万円になったときにロールオーバーは2階の非課税枠から消費していくので102万円ー80万円=22万円となり2階の枠が余ってしまいました。
この場合はまだ非課税枠が余っているので年度内の追加購入は可能です。が、ルールに従い1階のつみたてNISA枠から利用しないと2階の残22万円の枠を使う事はできないので注意してください
レバレッジ系の商品や上場廃止の恐れのある整理銘柄・管理銘柄は安定した資産形成を妨げる恐れのある商品なのでロールオーバーする事はできず、売却もしくは課税口座に移管するか選ばなければなりません
最後に新NISAも5年間の運用が終了した場合1階部分のみ、つみたてNISAにロールオーバーする事ができますが、そのときは簿価で資産の評価をおこないます。仮に1階部分で20万円分の商品を購入してたものが運用で40万円に資産価値が増えたとしても移管時には購入時の金額の20万円分が非課税枠から消費されます
簿価で計算されるので残った非課税枠の20万円分は年度内に追加で投資信託を購入する事ができます
2階部分のみ利用したいとき
そうは言っても投資信託なんて買いたくないし、個別株が欲しい!という方にはちゃんと抜け道が存在します
投資経験者であれば事前に証券会社に届け出をする事で2階の102万円部分から利用する事ができます。過去に一般NISAを利用していた方は投資経験者に該当するので希望する場合は申請してみてください
ただし、この方法には制限が設けられていてこの場合だと個別株の購入しかできません。それ以外にETFやREIを購入したい場合はやはり1階部分の利用が必要です
1階部分の利用は最低限にしたいという方は100円から積立投資ができる楽天証券・SBI証券がオススメです。毎月の積立金額を最低投資額の100円に設定すれば年間1200円で1階を利用する事ができるので最低限の支出で2階部分をフル活用する事ができます
ロールオーバーの注意点
ただでさえ複雑なロールオーバーの仕組みですが、さらに気をつけなければいけない点が3つあります
- ロールオーバーには期日前の申請が必要
- ロールオーバー時に証券会社の変更不可
- 2階部分のロールオーバーは保証されていない
1.ロールオーバーには期日前の申請が必要
なんの申請もなければ年度を跨いだ時点で口座内資産の売却か課税口座への移管を選ばなければならなくなってしまうので、証券口座をお持ちの会社に事前に申請しておいてください
ただし、証券会社毎にそれぞれ期日が異なるので確認も忘れないようにしてくださいね
2.ロールオーバー時に証券会社の変更不可
ロールオーバーする際には既に一般NISA(新NISA)で利用している証券会社をそのまま利用する事になります。ロールオーバーの申請が元々利用している証券会社でしか行えないからです
各証券会社間の競争でお得な証券会社というのはその時に合わせて変化していくので今最もお得な証券会社に口座を作りたいという気持ちはわかりますが抑えてください
その代わり同じ証券会社での手続きなので再度マイナンバーカードを提出したりする必要がなく簡単な作業で申請をする事ができます
3.2階部分ロールオーバーは保証されていない
今回、一部除外された銘柄があるとはいえ一般NISAから新NISAへのロールオーバーが可能となりましたが、新NISAも2028年で終了すると明言されています
そして、さらなる期間延長というのは今のところ予定されていません。ですから高確率で2階部分で保有している商品は次のロールオーバーができないものと思っておくのが良いです
2022年8月に金融庁から財務省にNISA制度の拡充案が要望されました。
まだ案でしかないですが、もし採用された場合NISAのあり方が大きく変わってくることは間違いありません。
拡充案の内容や採用されたときのメリットと、もしかしたらあるかもしれないデメリットを検討してみたので興味がある方はこちらの記事もあわせてどうぞ
投資の間口が広がる良案だと思うので、ぜひ採用していただきたいものです
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は2024年から開始する新NISAについて勉強しました
変更点やらルールの追加でなかなか複雑な制度になったようですが理解の助けになれたでしょうか?
それではもう一度おさらいしていきましょう
一般NISAとの変更点は
特に大きな変化は新NISAは2階建ての制度に生まれ変わりました
基本的には1階部分で積立投資をしないと2階部分を利用する事はできません。それはNISAという制度があくまでも安定した資産形成を援助するという目的があるからです
しかし、投資経験者は事前に申請すれば2階部分のみの利用もできますが個別株しか購入できないというデメリットがありますので、ETFやREITも購入したいのであればやはり1階部分の利用が必要です
1階部分の利用は最低限でも大丈夫なので100円から積立投資のできる楽天証券・SBI証券がオススメです
ロールオーバーとは口座のお引越し制度の事です
一般NISAから新NISAにロールオーバーする際は一部の例外を除き全額移管する事ができます。が商品の資産評価を時価でおこない、さらに新NISAの2階部分の非課税枠から消費し足りなければ1階部分の非課税枠も消費していきます
新NISAの非課税期間が終了した際は1階部分に限りつみたてNISAへ再ロールオーバーが可能です。この場合は簿価で評価がされるので仮に20万円の商品の価値が上下しても購入時の20万円という価格で評価されます
価値が上がっていれば良いですけど、たまたま暴落期に終了時期が重なって価値が下がっていると不利になってしまいますね
そして、ロールオーバーには注意点が3つあります
- ロールオーバーには期日前の申請が必要
- ロールオーバー時に証券会社の変更不可
- 2階部分のロールオーバーは保証されていない
ロールオーバーする際には現在NISA口座をお持ちの証券会社に設定された期日前に申請をしなくてはなりません。もし忘れてしまうとNISA口座内の商品は売却・課税口座に移管のどちらかを選ばなければなりません
それに証券会社の変更もできないので最初にNISA口座を開設する際はよく考えましょう
現在の段階では新NISAの期間延長は予定されていません。期間終了の時点で2階部分のロールオーバー先に該当するNISA口座がないので、売却か課税口座に移管の2択になる可能性が高いです
新NISAが始まるまで投資を待った方がいいのか悩む声がありますが、投資は早く始めた方が複利の恩恵を受けられるので資産形成のパフォーマンスが上がります
それに一般NISAを利用している方は新NISAへロールオーバーする事ができるのでより長く非課税期間を享受する事ができるので早く始めた方がよりお得に投資をする事ができます
まだ投資を始めていない方は100円からでも大丈夫です。すぐに始めましょう!
ここまで聞いていも大抵の人は行動しません。行動しないのならば今までと何も変わらない人生が続くだけです。
本当にそれでいいですか?
将来後悔しないための一歩を踏み出せてもらえれば嬉しいです
これからも学んで行動していきましょう
それではまた次回!