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【簡単】企業型確定拠出年金制度とは?【解説】

最近は政府の金融所得増大計画の影響かNISAやiDeCoの名前を聞く機会も増えてきたのではないでしょうか?

その中のiDeCoは個人型確定拠出年金のことなんですが、企業にも確定拠出年金があるのは知っていますか?

企業型確定拠出年金と言い、企業から従業員に対しての福利厚生のひとつなので個人では加入することができないものです

社会人になり企業に入社した際に確定拠出年金の運用について決めた覚えはありますか?

またこれから社会に出て働く方も、もしかしたらあなたの入社する企業は確定拠出年金制度を採用している可能性もありますので

イマイチよくわからないなぁ

という方はぜひ参考にしてください

この記事を読んでわかること

  • 企業型DCの仕組みがわかる
  • 企業型DCで損をしない商品の選び方がわかる
  • 企業型DCを利用して税金対策ができる
  • 企業型DCのデメリットもわかるから無理な投資をしない

企業型確定拠出年金制度とは

企業型確定拠出年金制度とはなにか?

簡単に言えば

”企業”が掛け金を毎月積み立てして、その掛け金を”従業員”が資産運用し、運用成績に応じた金額を退職金として受け取る制度です

2001年10月から始まった制度で、それまでは確定給付型の企業年金制度が主流でしたが徐々にこちらの企業型確定拠出年金を採用する企業が増えてきました。企業型DCなんて呼ばれたりもしています

そのため、自分の退職金がどのくらいもらえるかは自分の運用成績次第なので

適当に商品を選んでしまうと思ったより退職金がもらえないなんてことも?

積み立てた年金資産は原則60歳まで引き出すことはできません

60歳(定年退職時)に一時金(退職金)または年金として受け取ることができます

運用商品の選び方

企業型DCでは掛け金は企業が拠出しますが、運用は従業員本人がしなければいけません

運用商品は各金融機関によって異なりますが個人型確定拠出年金(iDeCo)と違い金融機関を自由に選ぶことはできません

勤務先の企業が契約している金融機関があるので、その中からから商品を選びましょう

企業型DCのメリットを活かすなら、おすすめはパッシブ型(インデックス型)の商品です

リスク許容度に合わせて選択していけば、将来への資産形成としては十分でしょう

運用商品の種類

運用商品はその特性によって大きく2つにわけられるので違いを見ていきましょう

元本確保型(定期預金・保険)

ひとつ目の元本確保型は定期預金や保険といった商品のことでリスクを極力減らした商品です

しかし、リスク・リターンは比例していく関係なので総じて利回りも低いです

定期預金の利息も今では超低金利が続いているので、もう”貯金をしているだけで儲かる”なんてことはないので覚えておいてください

保険も商品にもよりますが、ほとんどの場合で満期前の途中解約をしたときは元本割れしてしまうので契約の際によく確認しておきましょう

そして定期預金などのいわゆる”円資産”はインフレにとても弱いので、インフレがきたときに”円の価値”そのものが減ってしまうので額面上の資産は変わらなくても資産の価値は激減してしまいます

特に2022年の現在は一気に円安が加速しているので資産のすべてを円だけで保有するのはリスクが高いので、円とドルをバランス良く保有するのがおすすめです

そうすればインフレやデフレのどちらがきても資産の総量はほとんど変わらないので安心できます

”元本確保”のうわべに慢心せずにきちんと将来へのリスクマネージメントをしていきましょう

元本変動型(投資信託など)

元本変動型は投資信託などのリスク資産と呼ばれるものです

リスクを背負う分、元本確保型の商品よりも利回りが高くなるのが特徴です

損をしない投資信託を選ぶためのルールは

  1. パッシブ型(インデックス型)を選ぶ
  2. 手数料が安いものを選ぶ

投資信託にはパッシブ型(インデックス型)とアクティブ型の大きく2種類があります

パッシブ型(インデックス型)は日経平均やTOPIX、ニューヨーク・ダウなどの指数に連動した商品で市場の平均を目指して運用されています

アクティブ型は指数の平均を上回る成果を目指して専門のファンドマネージャーが商品の売買を行う商品です

これだけ見ると

”アクティブ型の方が儲かるんじゃ??”

と思うかもしれませんが、そこでもうひとつルールに注目しましょう

手数料が安いものを選ぶ

アクティブ型のファンドはファンドマネージャーらの専門家の人件費が発生しているので機械的に運用しているパッシブ型(インデックス型)よりも手数料が高いです

さらに市場平均を上回るために細かく売買をおこなうため売買手数料が多く発生して、結果ほとんどの場合で市場平均を下回るという本末転倒なことが起きます

確かに当たれば一番利回りが高くなる可能性はありますが、ほとんど場合で市場平均に負けるので無理にリスクを取らずにパッシブ型(インデックス型)の商品を運用することをおすすめします

掛け金のルール

ビジネス
出典:O-DAN

掛け金額の設定方法

掛け金の額の設定方法は年金規約によって定められていますが

企業ごとに採用している計算方式が異なるので企業によって掛け金額も違います

定額方式:加入している従業員全員に一律で同じ金額を拠出(積立)する

定率方式:もらっている給与の割合や役職など様々な条件によって拠出(積立)する金額が一人一人違う

掛け金の限度額は?

企業型DCはいくらでも掛け金をかけられるわけではなく、条件によって掛け金の限度額があります

限度額には2種類あり、企業が企業型DC以外に採用している企業年金の有無によって違ってきます

・企業型DCのみ採用:限度額は月額55,000円(年間660,000円)

企業型DCに+して退職一時金もしくは中小企業退職金共済を採用している場合でも55,000円です

・企業型DC以外に企業年金に加入している場合:限度額は月額27,500円(年間330,000円)

企業型DCに以下の企業年金をひとつでも合わせて採用している場合は月額27,500円になります

  • +確定給付企業年金(DB)
  • +厚生年金基金
企業が採用している制度 限度額
企業型DC 企業型DCのみ 月額55,000円(年間660,000円)
+退職一時金
+中小企業退職金共済
+確定給付企業年金(DB) 月額27,500円(年間330,000円)
+厚生年金基金

マッチング拠出で追加投資

企業型DCの掛け金はすべて企業の負担ですが、企業は必ず限度額ギリギリまで負担してくれるか?と言えばそうではない場合もあります

そのため今掛けている金額では物足りないという方はマッチング拠出制度を利用してみてはいかがでしょうか?

マッチング拠出制度は企業型DCにおいて企業が負担する掛け金にプラスして従業員自身が掛け金を追加投資する制度です

マッチング拠出制度のルール

マッチング拠出の追加投資額にも制限があって制限以上の掛け金を追加することはできません

マッチング拠出の限度額のルールは以下の2つです

  1. 従業員が拠出する金額は企業が拠出している金額を超えてはならない
  2. 企業の拠出する金額と従業員が拠出する金額の合計が拠出限度額を超えてはならない

仮に企業が月額10,000円の掛け金を拠出していた場合、従業員が追加で拠出できる限度額は月額10,000円まで

限度額が月額55,000円の場合で企業の拠出額が月額30,000円だった場合、従業員の拠出限度額は30,000円…ではなく

月額55,000円を超えないように、月額2,5000円までの追加拠出が可能になります

企業型DCの限度額 企業が拠出する金額 従業員が拠出できる限度額 合計拠出額
55,000円 10,000円 10,000円 20,000円
30,000円 25,000円 55,000円

しかし、企業型DCは採用していてもマッチング拠出制度を採用していない企業もあるので、お勤めの企業の担当部署に確認をお願いします

企業型確定拠出年金のメリット・デメリット

メリット

  • 掛け金は全額控除
  • 運用益は非課税
  • 受取金も一部控除で節税ができる

掛け金は全額控除されます。企業型DCを採用している企業では加入が義務付けられているところもありますが、中には選択制で掛け金分を給料として支払う企業もありますが、その際は控除が適用されないので加入していた方が税金面でお得です

さらにマッチング拠出制度を活用した場合に従業員が拠出した掛け金も全額控除されるので節税対策になりますね

また、所得制限によるサービスの制限などは所得額を元に計算されるので掛け金控除で所得額が下がれば所得制限の対象外になることもあるので所得制限にギリギリ引っかかる!という家庭の方は覚えておくとめちゃくちゃ得をします

企業型DCは60歳になり定年退職時に一時金(退職金)か年金として今まで運用してきた資産の受け取りができますが、一時金として受け取る際は退職金控除が使えるので節税ができます

デメリット

  • 60歳まで原則解約できない
  • 途中退職や転職した際に手続きが面倒

企業型DCは原則60歳未満での解約はできないので、急に現金が欲しい場面であっても現金化することができないので注意が必要です。

利回りを期待して適正以上に掛け金の増額をしていると、病気や事故などの不測の事態に対応することが難しくなってしまいます

終身雇用で勤め上げるという方には関係ないですが、転職や退職をする場合には企業型DCの移管の手続きをしなければいけません

転職先が企業型DCを採用していれば、現在利用している金融機関と転職先の企業が契約している金融機関とに移管手続きをする必要があります。

転職先の企業が企業型DCを採用していなかったり、自営業や公務員。または専業主婦(主夫)になる場合は企業型DCからiDeCoに移管をしなければいけません

まとめ

今回は”企業型拠出年金”=”企業型DC”について解説していきました

簡単にまとめると

企業型DCは企業が掛け金を拠出して従業員はその資本で資産運用をおこない、運用成績に応じた金額を退職金として受け取る制度のことです

お金を払うのは企業なので従業員に対する福利厚生のひとつです

資産運用のため運用できる商品には”元本確保型”と”元本変動型”の2種類あり

元本確保型は定期預金や保険などが該当しますが、利回りが低くほとんど運用利益はありません

さらに保険などは途中解約をすると元本割れをするので注意が必要です

元本変動型は投資信託などのリスク資産と呼ばれるものです

利回りは高いですが、相場次第では元本割れする場面もあるのでよく商品の特性を理解したうえでの購入をおすすめします

元本変動型は主に”パッシブ型(インデックス型)”と”アクティブ型”に分類されますが、企業型DCのように長期保有が前提の場合はパッシブ型の方が安定して高い成績が出せるので、選ぶならパッシブ型にしておけば間違いは少ないです

企業型DCの掛け金には上限がありそれ以上の拠出はできません

企業が企業型DC以外にも企業年金も採用していた場合は月額27,500円(年間330,000円)が拠出限度額

企業年金を採用していなければ月額55,000円(年間660,000円)が拠出限度額になります

しかし、企業は必ずしも上記の限度額まで拠出してくれるわけではありません

そこで不足分を従業員本人が拠出するマッチング拠出制度があります

マッチング拠出制度では従業員が拠出する金額にも上限がありますがルールの範囲内での拠出が可能です

  1. 従業員が拠出する金額は企業が拠出している金額を超えてはならない
  2. 企業の拠出する金額と従業員が拠出する金額の合計が拠出限度額を超えてはならない

もちろん従業員が拠出した掛け金も控除の対象になるので税金対策として利用したい方は企業の担当部署に相談してみましょう

企業型DCは掛け金は全額控除で受取金も退職金控除を活用することで一部控除が可能なので税金面でのメリットがとても大きいです

だからと言って、生活が立ち行かなくなるレベルでの投資はご法度です

企業型DCは原則60未満での解約を受け付けていないので、急に現金が必要なときに対応ができません

さらに転職や退職をした際には各金融機関への手続きが必要となり、転職先の企業に企業型DCがない場合や自営業・公務員・専業主婦(主夫)になる場合にはiDeCoへの移管をしなければいけません

しかし、多少面倒な部分もありますが節税面ではかなり優秀な制度であることは間違いありません

「投資に回すお金なんてないよ~」

なんて方でも控除のおかげでかなり得をすることもあるので一度試算してみるのもいいかもしれませんね

稼ぐことも大切だけど節税で無駄な支出を抑えることも立派な資産形成です

将来のため、あるいはちょっとした贅沢のためにこれからも資産形成を楽しんでいきましょう

それではまた次回!


ここからは関連記事の紹介です

もしも、勤めている企業が企業型DCを採用していなかったり、自営業や公務員・専業主婦(主夫)であったりして企業型DCが利用できない。けど節税はしたい

という方は”個人型確定拠出年金(iDeCo)を利用しましょう

iDeCoの始め方はこちらの記事で紹介しているので興味があればどうぞ

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