iDeCoなどの確定拠出年金は節税対策にもなるからやった方が良いって話。どこかで聞いたことはないですか?
確定拠出年金では掛け金が全額控除できることが大きなメリットですが
控除できたとして実際どれくらいの節税ができているのかわかっている人はどのくらいいるのでしょうか?
今回はわかりやすく年収別に節税効果を比較していきます
所得税:累進課税制度
わが国ではそれぞれ年収に応じて税金を納めています
それが所得税です
所得税は年収に応じて…とありますが、累進課税制度を採用して算出されています
ざっくり言うと
いっぱい稼いでいる人は、いっぱい税金を払ってね制度です
稼ぎの少ない人はあまり払わなくてもいいけど、その分稼いでいる人からは容赦なく徴収していきます
お金持ちに優しくない国『日本』(笑)
国の運営のためには仕方のない部分もあるんでしょうけどね…
日本にいる以上は義務ですから、ひとまず飲み込んで算出のルールをみてみましょう
課税所得 | 税率 | 控除額 |
¥1,000~¥1,949,000まで | 5% | 0 |
¥1,950,000~¥3,299,000まで | 10% | ¥97,500 |
¥3,300,000~¥6,949,000まで | 20% | ¥427,500 |
¥6,950,000~¥8,999,000まで | 23% | ¥636,000 |
¥9,000,000~¥17,999,000まで | 33% | ¥1,536,000 |
¥18,000,000~¥39,999,000まで | 40% | ¥2,796,000 |
¥40,000,000以上 | 45% | ¥4,796,000 |
年収別:所得税比較
それぞれ年収別にどのくらいの所得税を納めているのか比較してみましょう
今回は社会保険のある会社勤めの30代サラリーマンの場合です
条件次第で保険料や住民税が変化してしまうので、あくまでも参考程度にお願いします
※所得控除は基礎控除と社会保険料控除のみで計算するので医療控除などは含めません
年収 (会社員) | 基礎控除 | 給与所得控除 | 社会保険料 | 所得控除(基礎控除+社会保険料控除) | 課税所得 | 所得税率 | 所得税 | 住民税 | 税金合計 | 手取り |
¥2,000,000 | ¥480,000 | ¥680,000 | ¥280,010 | ¥760,010 | ¥559,000 | 5% | ¥27,950 | ¥65,900 | ¥373,860 | ¥1,626,140 |
¥3,000,000 | ¥480,000 | ¥980,000 | ¥433,818 | ¥913,818 | ¥1,106,000 | 5% | ¥55,300 | ¥120,600 | ¥609,718 | ¥2,390,282 |
¥4,000,000 | ¥480,000 | ¥1,240,000 | ¥552,132 | ¥1,032,132 | ¥1,727,000 | 5% | ¥86,350 | ¥182,700 | ¥821,182 | ¥3,178,818 |
¥5,000,000 | ¥480,000 | ¥1,440,000 | ¥709,884 | ¥1,189,884 | ¥2,370,000 | 10% | ¥139,500 | ¥247,000 | ¥1,096,384 | ¥3,903,616 |
¥6,000,000 | ¥480,000 | ¥1,640,000 | ¥867,636 | ¥1,347,636 | ¥3,012,000 | 10% | ¥203,700 | ¥311,200 | ¥1,382,536 | ¥4,617,464 |
¥7,000,000 | ¥480,000 | ¥1,800,000 | ¥985,950 | ¥1,465,950 | ¥3,734,000 | 20% | ¥319,300 | ¥383,400 | ¥1,688,650 | ¥5,311,350 |
¥8,000,000 | ¥480,000 | ¥1,900,000 | ¥1,104,264 | ¥1,584,264 | ¥4,515,000 | 20% | ¥475,500 | ¥461,500 | ¥2,041,264 | ¥5,958,736 |
¥9,000,000 | ¥480,000 | ¥1,950,000 | ¥1,243,305 | ¥1,723,305 | ¥5,326,000 | 20% | ¥637,700 | ¥542,600 | ¥2,423,605 | ¥6,576,395 |
¥10,000,000 | ¥480,000 | ¥1,950,000 | ¥1,284,759 | ¥1,764,759 | ¥6,285,000 | 20% | ¥829,500 | ¥638,500 | ¥2,752,759 | ¥7,247,241 |
¥11,000,000 | ¥480,000 | ¥1,950,000 | ¥1,340,031 | ¥1,820,031 | ¥7,229,000 | 23% | ¥1,026,670 | ¥732,900 | ¥3,099,601 | ¥7,900,399 |
¥12,000,000 | ¥480,000 | ¥1,950,000 | ¥1,402,212 | ¥1,882,212 | ¥8,167,000 | 23% | ¥1,242,410 | ¥826,700 | ¥3,471,322 | ¥8,528,678 |
¥13,000,000 | ¥480,000 | ¥1,950,000 | ¥1,436,757 | ¥1,916,757 | ¥9,133,000 | 33% | ¥1,477,890 | ¥923,300 | ¥3,837,947 | ¥9,162,053 |
¥14,000,000 | ¥480,000 | ¥1,950,000 | ¥1,471,302 | ¥1,951,302 | ¥10,098,000 | 33% | ¥1,796,340 | ¥1,019,800 | ¥4,287,442 | ¥9,712,558 |
¥15,000,000 | ¥480,000 | ¥1,950,000 | ¥1,547,301 | ¥2,027,301 | ¥11,022,000 | 33% | ¥2,101,260 | ¥1,112,200 | ¥4,760,761 | ¥10,239,239 |
¥16,000,000 | ¥480,000 | ¥1,950,000 | ¥1,588,755 | ¥2,068,755 | ¥11,981,000 | 33% | ¥2,417,730 | ¥1,208,100 | ¥5,214,585 | ¥10,785,415 |
¥17,000,000 | ¥480,000 | ¥1,950,000 | ¥1,630,209 | ¥2,110,209 | ¥12,939,000 | 33% | ¥2,733,870 | ¥1,303,900 | ¥5,667,979 | ¥11,332,021 |
¥18,000,000 | ¥480,000 | ¥1,950,000 | ¥1,671,663 | ¥2,151,663 | ¥13,898,000 | 33% | ¥3,050,340 | ¥1,399,800 | ¥6,121,803 | ¥11,878,197 |
¥19,000,000 | ¥480,000 | ¥1,950,000 | ¥1,754,571 | ¥2,234,571 | ¥14,815,000 | 33% | ¥3,352,950 | ¥1,491,500 | ¥6,599,021 | ¥12,400,979 |
¥20,000,000 | ¥480,000 | ¥1,950,000 | ¥1,754,571 | ¥2,234,571 | ¥15,815,000 | 33% | ¥3,682,950 | ¥1,591,500 | ¥7,029,021 | ¥12,970,979 |
¥30,000,000 | 0 | ¥1,950,000 | ¥1,754,571 | ¥2,234,571 | ¥26,295,000 | 40% | ¥7,722,000 | ¥2,639,500 | ¥12,116,071 | ¥17,883,929 |
¥40,000,000 | 0 | ¥1,950,000 | ¥1,754,571 | ¥2,234,571 | ¥36,295,000 | 40% | ¥11,722,000 | ¥3,639,500 | ¥17,116,071 | ¥22,883,929 |
¥50,000,000 | 0 | ¥1,950,000 | ¥1,754,571 | ¥2,234,571 | ¥46,295,000 | 45% | ¥16,036,750 | ¥4,639,500 | ¥22,430,821 | ¥27,569,179 |
あなたはどこに当てはまりましたか?
こうして表にしてみると一目瞭然ですが毎年結構な額の税金を納めているのがわかりますね
サラリーマンの方は源泉徴収制度があり税金を先払いしているので、実際に自分がどれくらいの税金を納めているのかよくわかっていない人も多いです
事前に強制徴収されているだけあってサラリーマンの方で税金を滞納するということは基本的にありませんが
自営業などフリーランスの立場の方は注意しましょう
いっぱい稼いだ!年収は○○万円!
年収が○○万円だとしても、すべてのお金が自由に使えるわけではなく
結構な額を税金で支払う義務があるということを覚えておくといいでしょう
特に収入が多くなれば、収入の半分以上が税金。
なんてケースもあるので使い込み過ぎて税金の支払いができなくなると税務署から怖い人たちが飛んできます(笑)
課税所得とは
税金の算出方法は年収ではなく課税所得に対しておこなわれます
年収-控除=課税所得
課税所得-税金=手取り
年収から控除を差し引いた金額が課税所得となるわけですが
課税所得所得が増えるほどかけられる税金も増えていくので
少しでも課税所得が減るように利用できる控除はできる限り利用することで節税することが可能です
確定拠出年金の節税効果
さて、先ほど表からわかったように節税のためには控除を利用した方が良いということがわかりましたね
しかし、源泉徴収で税金を先取りされるサラリーマンには利用できる控除は限られています
そこでiDeCoや企業型DCのような確定拠出年金制度を利用すれば手軽に節税をすることができます
例えば企業型DCがなくiDeCoのみ利用しているサラリーマンなら最大月額2.3万円まで掛け金にすることができます
確定拠出年金では掛け金は全額控除することができるので年間で最大27.6万円の控除を増やせます
控除が増えるということは所得税を節税することができますね
いったいどのくらいの節税ができるのでしょうか?
年収 (会社員) | 給与所得控除 | 所得控除(基礎控除+社会保険料控除) | iDeCo | 課税所得 | 所得税率 | 課税所得(iDeCoあり) | 所得税率 | 所得税(iDeCoなし) | 所得税(iDeCoあり) | 差額 |
¥2,000,000 | ¥680,000 | ¥760,010 | ¥276,000 | ¥559,000 | 5% | ¥283,000 | 5% | ¥27,950 | ¥14,150 | ¥13,800 |
¥3,000,000 | ¥980,000 | ¥913,818 | ¥276,000 | ¥1,106,000 | 5% | ¥830,000 | 5% | ¥55,300 | ¥41,500 | ¥13,800 |
¥4,000,000 | ¥1,240,000 | ¥1,032,132 | ¥276,000 | ¥1,727,000 | 5% | ¥1,451,000 | 5% | ¥86,350 | ¥72,550 | ¥13,800 |
¥5,000,000 | ¥1,440,000 | ¥1,189,884 | ¥276,000 | ¥2,370,000 | 10% | ¥2,094,000 | 10% | ¥139,500 | ¥111,900 | ¥27,600 |
¥6,000,000 | ¥1,640,000 | ¥1,347,636 | ¥276,000 | ¥3,012,000 | 10% | ¥2,736,000 | 10% | ¥203,700 | ¥176,100 | ¥27,600 |
¥7,000,000 | ¥1,800,000 | ¥1,465,950 | ¥276,000 | ¥3,734,000 | 20% | ¥3,458,000 | 20% | ¥319,300 | ¥264,100 | ¥55,200 |
¥8,000,000 | ¥1,900,000 | ¥1,584,264 | ¥276,000 | ¥4,515,000 | 20% | ¥4,239,000 | 20% | ¥475,500 | ¥420,300 | ¥55,200 |
¥9,000,000 | ¥1,950,000 | ¥1,723,305 | ¥276,000 | ¥5,326,000 | 20% | ¥5,050,000 | 20% | ¥637,700 | ¥582,500 | ¥55,200 |
¥10,000,000 | ¥1,950,000 | ¥1,764,759 | ¥276,000 | ¥6,285,000 | 20% | ¥6,009,000 | 20% | ¥829,500 | ¥774,300 | ¥55,200 |
¥11,000,000 | ¥1,950,000 | ¥1,820,031 | ¥276,000 | ¥7,229,000 | 23% | ¥6,953,000 | 23% | ¥1,026,670 | ¥963,190 | ¥63,480 |
¥12,000,000 | ¥1,950,000 | ¥1,882,212 | ¥276,000 | ¥8,167,000 | 23% | ¥7,891,000 | 23% | ¥1,242,410 | ¥1,178,930 | ¥63,480 |
¥13,000,000 | ¥1,950,000 | ¥1,916,757 | ¥276,000 | ¥9,133,000 | 33% | ¥8,857,000 | 23% | ¥1,477,890 | ¥1,401,110 | ¥76,780 |
¥14,000,000 | ¥1,950,000 | ¥1,951,302 | ¥276,000 | ¥10,098,000 | 33% | ¥9,822,000 | 33% | ¥1,796,340 | ¥1,705,260 | ¥91,080 |
¥15,000,000 | ¥1,950,000 | ¥2,027,301 | ¥276,000 | ¥11,022,000 | 33% | ¥10,746,000 | 33% | ¥2,101,260 | ¥2,010,180 | ¥91,080 |
¥16,000,000 | ¥1,950,000 | ¥2,068,755 | ¥276,000 | ¥11,981,000 | 33% | ¥11,705,000 | 33% | ¥2,417,730 | ¥2,326,650 | ¥91,080 |
¥17,000,000 | ¥1,950,000 | ¥2,110,209 | ¥276,000 | ¥12,939,000 | 33% | ¥12,663,000 | 33% | ¥2,733,870 | ¥2,642,790 | ¥91,080 |
¥18,000,000 | ¥1,950,000 | ¥2,151,663 | ¥276,000 | ¥13,898,000 | 33% | ¥13,622,000 | 33% | ¥3,050,340 | ¥2,959,260 | ¥91,080 |
¥19,000,000 | ¥1,950,000 | ¥2,234,571 | ¥276,000 | ¥14,815,000 | 33% | ¥14,539,000 | 33% | ¥3,352,950 | ¥3,261,870 | ¥91,080 |
¥20,000,000 | ¥1,950,000 | ¥2,234,571 | ¥276,000 | ¥15,815,000 | 33% | ¥15,539,000 | 33% | ¥3,682,950 | ¥3,591,870 | ¥91,080 |
¥30,000,000 | ¥1,950,000 | ¥2,234,571 | ¥276,000 | ¥26,295,000 | 40% | ¥26,019,000 | 40% | ¥7,722,000 | ¥7,611,600 | ¥110,400 |
¥40,000,000 | ¥1,950,000 | ¥2,234,571 | ¥276,000 | ¥36,295,000 | 40% | ¥36,019,000 | 40% | ¥11,722,000 | ¥11,611,600 | ¥110,400 |
¥50,000,000 | ¥1,950,000 | ¥2,234,571 | ¥276,000 | ¥46,295,000 | 45% | ¥46,019,000 | 45% | ¥16,036,750 | ¥15,912,550 | ¥124,200 |
iDeCoを利用するとしないとで¥13,800~¥124,200の節税が可能であることがわかりますね
今回は住民税などを考慮していないので実際の節税額はもう少し増えます
それに当然掛け金が多くなれば節税できる金額も大きくなるので確定拠出年金制度を利用できる方は積極的に利用した方が将来の資産形成にとって有利に働くでしょう
優遇制度の対象者になれる
節税のメリットが前面に出過ぎてあまり知られていないことが多いのですが
確定拠出年金制度は節税以外でも家計にとって大きなメリットがあります
優遇制度の対象者になれる
わかりやすいところだと児童手当が有名ですね
児童手当は子育て世帯に支援金を給付する制度ですが、所得が一定以上だとこの給付金がなくなります
この一定以上の所得というの課税所得から判断されます
つまり、iDeCoや企業型確定拠出年金などで控除額を増やし、課税所得を少なくすれば家庭の資産を減らすことなく給付金はしっかり受けることができます
もし、所得が多くてギリギリ対象外になってしまうという家庭であるならiDeCoや企業型確定拠出年金の加入を検討してみてはいかがでしょうか?
確定拠出年金制度の落とし穴
年間¥13,800~¥124,200程度の節税が可能になる
それ自体は大変素晴らしいことで活用できれば将来の資産形成にとって確実にプラスになりますが
覚えていますか?
確定拠出年金制度は原則として60歳未満は掛け金を引き出すことができません
確かに年間に支払うべき税金は安くなりますが、それ以上に掛け金を支払っているので将来的にプラスになるのはほぼ間違いないですが
1年間という期間で切り取った場合、掛け金が取り崩せない以上その年の手取りは確定拠出年金制度を利用しない方が多くなります
毎年生活がギリギリで余分な出費に対応できる余裕がない場合、いくら節税のためとはいえ無理に始めるのは危険です
人生の収支を把握して、無理のない範囲で制度の利用をしましょう
まとめ
iDeCoや企業型確定拠出年金が節税に効果があると言われているけど、実際にどのくらいの節税効果があるのか?
結果は所得が増えるほど節税効果は大きくなることがわかりました
高所得者は稼いだ分税金も重くなる累進課税制度ではいかに課税所得を減らすかが節税の大きなカギになります
今回はiDeCoのみ利用できるサラリーマンという想定だったので年間27.6万円の控除でしたが、企業型確定拠出年金も併用できれば最大年間66万円の控除が利用できるので節税効果も大きくなります
そして確定拠出年金は所得制限に関わる優遇制度を利用するためにも有効です
児童手当などは所得が多いと給付金が受けられなくなりますが、確定拠出年金制度を利用して課税所得を減らせば
そのままでは児童手当の対象にならない世帯でも対象に含まれるケースがあるので加入を検討してみてください
ただし、掛け金として拠出した金額以上に税金が安くなるわけではないので、1年間という期間でみた場合収支がマイナスになります
あくまでも老後資金を増やすということが主目的なので、今の生活が厳しくなるほどの掛け金をかけない
そもそも生活が苦しくなるならiDeCoを利用しないというのもひとつの選択なので自分の経済状況をよく考えてから始めるのでも遅くはありません
しかし、余裕があるのならiDeCoなどを利用することは良い選択です
老後資金を作ることができる上に、貯める過程で拠出した分だけ税金も安くできるというメリットは大きいです
これを機にあらためて人生設計を考えてみるのもいいんじゃないでしょうか?
それではまた次回!
関連記事の紹介です
確定拠出年金制度には企業に勤めている方だけが加入することができる企業型確定拠出年金があります
企業型確定拠出年金(企業型DC)は掛け金の一部または全額を企業側が負担してくれる制度です
掛け金のルールなどをわかりやすく解説していきます
iDeCoは個人型確定拠出年金の略称で企業型DCに加入することができないサラリーマン以外にも
自営業などのフリーランスや公務員、専業主婦といった方でも加入することができる年金制度です
加入方法を詳しく解説していくほか、メリットやデメリットについても説明していきます