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【22年最新】NISA制度拡充案発表~検討内容と懸念点

「8月23日に金融庁がNISA制度の拡充案を財務省に要望する」というニュースが話題になりました。

こちらの記事ですね↓

NISA投資上限引き上げへ、金融庁が要望と報道-恒久化も検討

岸田政権の1憶総株主化に向けた取り組みの一環として大きく動きを見せました。

まだ「案」という段階なので未確定情報ではありますが

今現在わかっている事や今のうちに対策しておくべき事はあるのか?などを

僕個人の感想や懸念点を独断と偏見多めで解説していきたいと思います。

現在のNISA制度

こちらが現在のNISA制度の基本情報になります。

一般NISAの年間投資上限は120万円で5年の非課税期間があり、

中・短期の投資に向いているので、複数銘柄に自由に投資をしたい中級者以上の投資家たちに好まれている制度です。

対してつみたてNISAは年間投資上限は40万円と低めですが非課税期間が20年と長くトータルで見ると一般NISAよりも200万円ほど多くの非課税枠が利用できます。

そのため、非課税措置をより多く受けてコスパの良い投資をしたい人や、インデックスへの長期投資で安定的に資産を増やしたい人に人気で

一般NISAに比べてリスクも低いので特に投資初心者にオススメされている制度です。

僕の記事でも度々オススメしているので、知っている方もいらっしゃるかと思います。

NISA制度改正案

続いて話題のNISA制度改正案です。金融庁の要望を簡単にまとめてみました

NISA改正案

現在のNISAは成人とされる18歳から利用できる制度ですが(2022年度までは20歳から)、ジュニアNISAが廃止する事で未成年に対する優遇制度がなくなってしまうのため

改正案では、つみたてNISAを未成年も利用可能としてはどうか?という案が出ています。

という事は、つみたてNISAを実質ジュニアNISAと合体させようという事になるんでしょうか?

非課税枠の大幅拡充

改正案では非課税枠や非課税期間などの税制優遇面を大幅に強化した案が提出されました。

非課税枠が、つみたてNISAが年間60万円、一般(新)NISAが年間240万円

どちらも現行制度から1.5倍~2.0倍の非課税枠を拡大させてはいかがなものかという事で

つみたてNISAなら月々の積立限度額が5万円となるので、今までが33,333円という絶妙に割り切れない金額だったのでスッキリとわかりやすくなりましたね。

そして、さらに驚きなのが非課税期間が無制限になるという大盤振る舞い

今までの20年間でも十分に長期間でしたが、期間満了のタイミングで運悪く下落相場にぶち当たると非課税で受け取れる利益が減少してしまうという心配がありましたが

期限が無くなってしまえば、自分の好きなタイミングまで気にせず保有する事ができるようになりますね。(欲を出して取り崩すタイミングを逃してしまう心配は増えますが…)

そして投資可能期間も恒久化という事でありますが、元々NISAは期間限定の制度であったので受付期間が決まっていました。

しかし、これから国民の金融所得を増やしていこうというのに、今のままでは後から始めた人は優遇措置を受けられる期間がどんどん短くなっていくのは矛盾であり、不公平であるということから期限の撤廃という形に持っていくつもりのようですね。

そして投資できる商品にも、どうやら変更が加えられそうです。

つみたてNISAは現在投資できる商品は金融庁に認められた投資信託に限られています

が、

改正案では投資信託に加え個別株への投資も視野に入れているようです。

元々つみたてNISAは堅実な資産形成を助長するための制度なので1本で分散投資が低予算からできる投資信託のみに制限していたはずなので、方針転換でもう少し大きなリスクも許容するようにしたのかもしれません。

おそらくETFなども投資候補に入っているのではないかと思われますが、それでもさすがにレバレッジ型の商品は投資対象に入ってこないとは思っています。

2024年から始まる新NISAでわざわざレバレッジ型の商品を規制しておきながら、やっぱり規制止めますというのは、ゼロではないですが可能性は低いでしょう。

拡充による懸念事項

改正案がそのまま可決されればNISA制度は格段に使いやすくなる事は間違いないです。

が、

NISA制度が拡充される事で生じる変化により、すでにNISA制度を利用している人も状況に合わせた決断をせまられる場面がありそうなので

今回の改正案を受けて個人的な感想や疑問点などを紹介していきます。

  • つみたてNISAはお払い箱?
  • つみたてNISA制度の大幅改変?
  • なにか裏があるのではないか?

つみたてNISAはお払い箱?

このブログでは「投資初心者さんはつみたてNISA一択ですよ~」と言いまくってきたわけですが…笑

今回の改正案を見てわかるようにつみたてNISAと一般(新)NISAの両方の非課税期間が無期限になるという風に言われています。

つみたてNISAを利用してる多くの方は20年という長い非課税期間を活用して長期投資で安定的に資産形成をしようという目的の方がほとんどだと思いますが

一般(新)NISAも非課税期間が無期限になるなら、投資商品も多く、運用できる非課税枠も4倍、さらに非課税期間は無期限…ってこれ、未成年以外はつみたてNISAを利用する理由が完全消滅してるんじゃ…???

本当にそのまま改正案が通ればつみたてNISAの優位性は一気に崩れそうですね。

つみたてNISA制度の大幅改変?

一般(新)NISAの優位性が格段に伸びた場合、つみたてNISAはどのように変わっていくのか?

『未成年者の投資経験を積ませるためのステップ制度』

このような側面が強い制度に変わっていくのかな?という予想ができます。

なぜなら、先ほども申したように非課税期間・非課税枠・投資商品のすべての面で一般(新)NISAにおくれをとってしまっている以上、成人の投資家がつみたてNISAをわざわざ続ける理由がないからです。

強いて言えば、元々つみたてNISAを利用していて毎月の投資資金が5万円以下の投資家であれば、あえてNISA口座を切り替える必要もないので、手間がもったいないという理由で続ける方が残るだろう。というぐらいですかね?

そしてもう一つ、今までつみたてNISAで投資をするなら定額の積立投資だけでした。

ところが、今回「個別株への投資も可能とする」という事になるとひとつ疑問が湧いてきました

「どうやって定額積立するの?」

投資信託は1株単位での取引ではなく、分割での取引が可能なので1万円ならきっちり1万円で積立投資が可能でしたが

個別株は基準価格での取引になるので、そのときの基準価格次第で毎月の投資金額が変わってきてしまいます。一部証券会社ではETFなどで定額買い付けができるサービスもしているようですが…

全証券会社に個別株の定額購入サービスを設けるのか、それともつみたてNISAにもスポット購入を導入して個別株はスポット購入のみという対応をとる予定なのか判断がわかれるところです。

デメリットは?なにか裏があるのではないか?

騙す・罠
出典:いらすとや

金融所得増大のためとは言え、何か表沙汰にされていない裏があるんじゃないか?と疑ってしまいますよね?

過去には消費税をジワジワと増税させるために、その場あたりの優遇措置や緩和措置を実施して国民感情をそらしながらインボイス制度導入により緩和措置のはしごを外す

という事例もあるものですから、あまりメリットだけに目を向けるのは危ないかもしれません

現在は机上の空論でしかないので言い出したらキリがないし無意味な事なのかもしれないですが、こんな事もあるかもね。という事でパッと思いついた事を列挙していきます。

  • 金融所得増税
  • 年金制度改悪

金融所得増税

今回の改正案だけを見れば良い事ずくめですが、別の制度変更でダメージを受ける可能性は十分にあります。

NISA利用で税制優遇面を向上させるのは僕たちにとって良い事ですが、拡充されたとは言え限度額が存在する事には違いがないので資産形成を進めていくと、

どうしてもNISA口座だけでは不足するため、それ以上に投資を行う場合やNISAで取引できない商品を購入する際には特定口座を利用する必要があります。

現在、特定口座では運用利益に対して20.315%の税金が課税されます。

そこで一時期、岸田総理から金融所得増税という案が出た事を覚えているでしょうか?

もしかしたらNISA拡充の影に隠れて金融所得増税によって運用利益への課税額が30%~40%なんて事が通る可能性がないとは言えないので注意が必要ですね。

年金制度改悪

日本は年々少子高齢化社会が進み年金受給者の人数はどんどん増えていくのに、それを支える若い世代はどんどん減少していっています。

年金制度は崩壊しないと言われていますが、年金受給者が増えれば増えるほど年金受給額も当然増えるので、その分社会保険料は年々増加傾向にあります。

元々NISA制度の始まりも、老後2000万円問題が発端となっていて年金だけでは老後生活が厳しいから資産形成をして自分で年金を確保してほしいという

要は「国はもう老後の生活まで面倒見きれません!」メッセージが込められたものでした。

という事は今回のNISA拡充を機に年金負担はさらに増え、より個人での資産形成に力を入れざるを得ない状況が近づいてきているのではないかと疑ってしまうのも仕方ないですよね?

もしそうなったら、せっかくNISA拡充でウハウハかと思いきや、負担増で何も変わらんやんけ!

というぬか喜びさせられるだけなのではないか?と心配してしまいます。

NISA拡充案を受けて準備する事

「色々言われたけど今から何か準備しておく事ってあるの?」

ハッキリ言って、ありません。

「おい!散々心配事煽っておいて、そりゃあないだろう」と思った方もいるかと思いますが、

正直な話、何度も申し上げているように現在はまだ拡充"案"でしかないので、今からあれこれ動き回っても結局徒労に終わる可能性も十分にありますので

動くならきちんと採決されてからでも全然遅くないです

むしろ今心配してよくわからない対策に振り回されて労力を使うくらいなら、その時間を有効活用して資産形成や自分や大切な人のために使う方がよっぽど有意義でしょう。

まぁそれでも強いて言うならば、つみたてNISAを利用している方は、もし一般(新)NISAの方が使いやすくなったときのためにNISA口座切り替えの方法をなんとなくでも頭の片隅に入れておくくらいでしょうか。

まとめ

今回は金融庁が財務省に提出した、NISA制度拡充案の内容と、もし実施されたときに起こる変化や関節的な影響への懸念などについて独断と偏見たっぷりでお送りいたしました

NISA制度の拡充案そのものは投資家たちにとって、とても素晴らしいものでしたが

裏を読むと

「国は私たちの年金の面倒を見る事を諦めたのではないか?」

という事も考えられるので、あまり楽観的にとらえすぎるのも良くないのかなと思います。

拡充案発表に際して、現時点でなにかこちらから準備しておく事は特にないと思っていますが

いつまでも あると思うな 親と年金

とも言いますからね(?)

拡充案云々は抜きにして、ひとりひとりが自分の将来に真剣に向き合っていく必要が今後ますます増えてきたのかなと思います。

まずは家計を見直しつつ、浮いたお金で少額からでも投資を始めて運用してみるところから少しずつステップアップしていくのが良いですね

投資を始めるなら現行のNISAでも十分です。1秒でも早く始めた方が良いので拡充案の様子見なんてしてる場合じゃありません。

すぐ口座を開設して始めてください

優遇制度には一般(新)NISA・つみたてNISA ・iDeCoの3種類ありますが、まずは自分にはどの優遇制度が合っているのか適性診断を行ってから選ぶと後悔が少ないです


こちらの記事で3つの優遇制度の特徴と、あなたにおすすめの優遇制度がわかります

・一般NISA・つみたてNISA・iDeCo選び方


投資を始める人はまだまだ少数派です。

ですが、だからこそいち早く学んで実践する事で行動してこなかった大多数の人より一歩も二歩も先を行く事ができます。

地道にコツコツと積み重ねが大事です。

これからも一緒に学んでいきましょう

それでは、また次回!

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